今年でソロ活動が30年目を迎える桑田佳祐。そんな30周年を記念した特設サイト『ROUND30』が先日オープンし、いよいよ本格的な動きを見せようとしている。そんな桑田の30周年の記念すべき初動はNHK連続テレビ小説の主題歌タイアップ。本日から放送スタートの新ドラマ『ひよっこ』に桑田が書き下ろしの新曲「若い広場」を提供している。因みに桑田がNHKドラマに楽曲提供するのはこれが初めての事である。

ドラマの舞台は東京オリンピックで沸く1964年秋。有村架純演じる高校3年生の谷田部みね子を主人公としてストーリーが展開して行く。初回から家族愛のようなものを感じる事ができ、ほのぼのとした気分で観る事ができた。今後どのような方向に登場人物たちが翻弄されて行くか楽しみだ。

そんな事で主題歌である「若い広場」に焦点を当てて一筆軽く書かせて頂きたいと思う。楽曲は何処か懐かしさを感じる歌謡テイストに仕上がっている。藤山一郎の「東京ラプソディー」を彷彿とさせられるようなメロディーがあり、温故知新のような作用がそこには働いているのだろうか。桑田の音楽ルーツの根底にあるという"歌謡曲"。WOWOWの25周年企画で製作された『桑田佳祐 偉大なる歌謡曲に感謝 〜東京の唄〜』や当時の新曲「悪戯されて」など……桑田の歌謡曲に対するリスペクトの象徴とも呼べる活動が著しかった2016年。その空気感を見事に含んだのが「若い広場」である。

1962年からNHKで『若い広場』という教育トーク番組が20年間放送されていたという。当時その番組を観ていた方々は「若い広場」というワードからもノスタルジックを感じる事が出来るだろう。それだけではなく詞世界には当時を力強く歩んだ人々の人間ドラマが内在されていいる。あらゆるジャンルに富んだ桑田ポップスだが、この「若い広場」は今の桑田佳祐のスタンダードと呼ぶに値するだろう。これからも『ひよっこ』の主題歌として、そして桑田佳祐の1つの楽曲として多くの人々に親しまれて行くに違いない。(やまだ)