映画『君の名は。』の公開から1年が経つ。新海誠監督が3年ぶりに世に送り出したこの作品は日本だけでなく、世界各地でも公開され社会現象とまでなった事は言うまでも無いだろう。筆者は映画評論家でも何でもないため、この映画が1つの映画作品として優れているかどうかは分からない。ただこの映画に携わったRADWIMPSというバンドについては少しだけ語らせて頂きたい。これは単なる1人のファンとしてのエゴである。昨年にも『君の名は。』についてのブログを書かせて頂いたが、あれから1年が経った今だからこそ見えてきたものがある。

昨年はRADWIMPSの楽曲がそれこそ比喩でなく日本中に鳴り響いた1年であった。彼らは『君の名は。』の劇伴を務めた1年半という期間の中で主題歌4曲を含む26曲を作り上げたかと思うと「前前前世 (movie ver.)」を提げて初の地上波出演を果たした。これまでテレビメディアの露出が無かった彼らにとってこれは革命的な出来事であった。その3ヶ月後にはオリジナルアルバム『人間開花』をリリース。その勢いは留まることを知らず年末にはNHKの紅白歌合戦への出場まで成し遂げた。このようなバンドの大躍進の背景には一体何があったのだろうか。

2013年に『×と◯と罪と』を完成させた直後から彼らを取り巻く空気が変わりつつあった。10年近く閉塞的な空間で音楽を創り続けていたRADWIMPSは新しい何かを欲していた。そこにたまたま舞い込んで来たのが『君の名は。』の劇伴の話であった。
 
『君の名は。』がRADWIMPSに与えた影響はあまりにも大きい。それは知名度を高めたとかいう単純な話ではない。根本的な部分で『君の名は。』は野田洋次郎に内在していたものを引き出したのだ。その象徴がアルバム『人間開花』である。 『君の名は。』を創り出せた事の自信がこのアルバムにも直結しているのが分かるだろう。山口智史の休業、胎盤ツアーもこの『人間開花』に繋がる大きな要素ではある。山口智史の休業で突如絶望の淵に立たされたメンバーが胎盤ツアーで多くの人に音楽を届ける喜びを知った事も大きい。

RADWIMPSが従来のやり方で見れる景色にはどうしても限界があった。それでも彼らはこの10年間それだけを信じて進化をし続けたきた。ただ『君の名は。』で自分達の目では見れなかった景色を見た時に彼らの視野は一気に広がっていった。RADWIMPSの魅力でもある"多面性"が強固になったと言ってもいい。

これまでとは違うやり方でRADWIMPSは2016年を駆け抜け、開いて行った。それでもやっぱりRADWIMPSという軸がブレる事は一切無かった。その事に一番喜びを感じているのは本人たちであろう。誰かと交わる事で自分達の色が濁るのではないかと恐れていたあの頃のRADWIMPSはもういない。過去最高に開けた状態で野田洋次郎は音楽を創り続けている。そんな事が1人のファンとしてただただ嬉しい。(やまだ)


(「君の名は。」予告)
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