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RADWIMPSが2月21日に発売するシングル『Mountain Top / Shape Of Miracle』から新曲「Mountain Top」が先行配信された。この楽曲は2月24日から劇場公開されるチェン・カイコー監督の日中共同製作映画『空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎』の主題歌として書き下ろされた。今回のシングルは両A面となっており「Shape Of Miracle」は『空海』の挿入歌として起用されている。

今やRADWIMPSにとって映画が新しい音楽表現の場として機能しているという事は言うまでもないのかもしれない。2016年に公開された新海誠監督のアニメ映画『君の名は。』ではRADWIMPSが劇中音楽の全てを担当した事は記憶に新しいだろう。俳優・野田洋次郎(Vo.Gt.)にとっての処女作になった『トイレのピエタ』や小松菜奈主演の短編映画『ただいま。』の存在も忘れてはならない。全く違うベクトルを持ったそれぞれ作品の中でRADWIMPSの音楽は変幻自在に音色を変えてきた。

そして今回『空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎』の主題歌である「Mountain Top」を聴いた時もRADWIMPSというバンドの柔軟さに感銘を受けた。というより衝撃に近いものを感じた。彼らが新曲を出す度に“新境地”と謳うのもそろそろ辞めにしたいのだが、その言葉が最も腑に落ちるのも事実。この曲は映画『君の名は。』の時のアプローチとは違うように見える。全編英語で綴られた歌詞、壮麗なストリングに美しいピアノの旋律…これ程までに異国情緒が漂う楽曲がRADWIMPSにあっただろうか。個人的には野田洋次郎のソロプロジェクト・illionですら引き合いに出すのに違和感を覚えてしまうのだが…。

『空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎』は日本から遣唐使として中国・唐に渡った若き天才僧侶・空海とその地で知り合った白楽天が交流を深める中で歴史を揺るがす巨大な謎に直面し、真実を模索するという壮大な歴史大作でありながらそこに携えられた「Mountain Top」という楽曲は同時に現世を生きる我々に向けての曲でもある。『自分が心から信じる道を進め』『他人に自らの道を決めさせること勿れ』そんな言葉を遺した先人たちの想いを現代社会の人々はどう汲み取って生きていくのか。映画を観ればきっと「Mountain Top」の根底に託された想いを深く汲み取る事が出来るのだろう。

監督を務めたチェン・カイコーはこの楽曲を“暴風雨のあとの虹”と喩えているが、僕が1人のRADWIMPSリスナーとしてこの曲を彼らの“金字塔”と喩えたい。世界を肯定し、人間を肯定し、自分を肯定し、他者との差異までも肯定したRADWIMPSだからこそ築き上げる事ができた金字塔だと思った。RADWIMPS、何処へ行く(やまだ)


(RADWIMPS「Mountain Top」Music Video)