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遡ること2ヶ月前の4月1日。
RADWIMPSの公式ファンクラブRADWIMPS MEMBERSから『まとめてボクチン 2017』の購入者のみに向けて彼等が6月にツアーを開催するという一報が入った。それは俄かには信じ難いものだった。2ヶ月後という突然すぎる発表と、1ヶ月中に11公演を熟すというあまりにハードなスケジュール。そして何よりもその日がエイプリルフールという事で僕がこのツアーを呑み込むのには多少の時間がかかった。そう、嘘みたいなツアーだったのだ。翌日の4月2日からは公にもツアーの詳細が発表され、トントン拍子で事は進んでいき、僕はさいたまスーパーアリーナの2日目と横浜アリーナの2日目に行かせて頂く事になった。ツアータイトルは『Road to Catharsis Tour 2018』ーーRADWIMPSにとっては何気に初めてとなるシングルを提げてのツアーとなった。そしてたまアリと横アリ公演を終えた今僕が思うのはやはり嘘みたいなツアーだったという事だ。無論、良い意味で。今回のブログではたまアリ2日目と横アリ2日目の様子を自分なりに咀嚼しながら覚えてる範囲内でライブレポートを綴っていきたい。ツアーファイナルの神戸公演を控えてる方はネタバレ注意です

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6月17日 さいたまスーパーアリーナ
開演時間を2、3分ほど過ぎて会場が暗転すると会場からは嬉し悲鳴が起こる。ステージを赤い照明が染め上げてサイレン音が鳴り響く。ステージの上の方に互いが向かい合う形で配置されたされたツインドラムのリズムから1曲目は何と「AADAAKOODAA」!しかし歌い始めの段階では野田洋次郎 (Vo.Gt.Key.)の姿を確認する事が出来ない。巨大なスクリーンには9つのマスが映し出され、中央のマスから野田洋次郎が現れるという演出。もうこうなって仕舞えばお祭り騒ぎだ。武田祐介 (Ba.)はサウンドを打ち込んで行き、完成された心地の良いグルーヴに早くも会場のボルテージは高まって行く。「暴れる準備は出来とるんかいのぉ‼︎」という野田の煽りから2曲目の「One man live」へ。2年前のインタビューで野田がRADWIMPSの音楽を爆発的なものと言っていたのをふと思い出す。3曲目の「ます。」も圧巻のバンドサウンドで締め括ると最初のMCへ。

洋「こんばんは、RADWIMPSと申します。(中略)いいじゃんいいじゃん、何かあったの?オープニングアクトでもあったの?(笑)」「初めましての人も何回も来てる人もいるだろうけど関係なく愛し合いまくり合おうか?」

そんなMCから始まったのは「ふたりごと」であった。まさしく永遠の愛の誓ったラブソング。グリーンのレーザービームが放射されたアウトロは5人の編成で生み出されたサウンドが幻想的に鳴り響く。続いては「遠恋」というこれまたラブソング。間奏ではライブでは定番となっているギターとベースの掛け合いが行われる。野田はステージを右往左往し、楽器隊をこれでもかと煽ってゆく。それに呼応するかのように桑原彰 (Gt.)、武田の演奏も激しさを増す一方だ。桑と武田の肩に野田が腕を周りして顔を寄せ合うそのパフォーマンスは微笑ましくもあった。そしてほぼ間髪を入れずに「俺色スカイ」へ。インディーズ時期にもあたる楽曲であるのにも関わらずオーディエンスがしっかりと対応して行く柔軟さは流石だ。FullSizeRender
花道に大太鼓がセッティングされ「やどかり」のイントロが響くとオーディエンスからはどよめきが起こった。これまでの人生で身につけてきた財力、知恵、教養、疑惑、想い出…そして自分自身の肉体さえもいつか消えてしまうという事の虚しさと儚さ。この「やどかり」はそれらの現実から真っ向から対峙し肯定する強さを持ち合わせている。歌いながら力強く、そして丁寧に大太鼓を叩く野田の姿はあまりに眩しく僕の目には見えた。続けて演奏されたのはこれまた久しぶりのお披露目となった「揶揄」!色艶のあるピアノの音色と伸びやかな歌声。因みに横アリ2日目では桑のコーラスの入りが少しズレたのか野田が笑ってしまうなんていう場面も見られた。

洋「このツアーでは昔の曲を結構やってるんですけど、久しぶりすぎて新曲をやってるみたいな気分で俺らも練習してます(笑)17歳のときに作った曲もあるんですけど、この歌詞すげぇこと言ってるな、って思ってやってます」


ピアノの前に座りそんなMCを挟むと「秋祭り」が演奏された。映画『君の名は。』の為に製作されたインスト楽曲である。ストーリーにとってもヒロインの三葉にとっても最大の肝というシーンに添えられたこの楽曲。あの映画を観た方なら誰もがあの瞬間に『君の名は。』をフラッシュバックさせたのではないだろうか。そしてそのまま「スパークル [original ver.]」に入るとそのあまりの美しさにオーディエンスから吐息が漏れた。もうあの映画が2年前という事実に時の流れる速さを感じざるを得ないが『君の名は。』が確実にRADWIMPSの土台になっていることを痛感した一瞬でもあった。ライブツアーの直前にFCにて公開されたインタビューで野田は最初のセットリストに『君の名は。』関連の楽曲を入れていなかった事を明かしている。それでは最近ファンになった方に申し訳ないと思い曲目を調整したとの事。そのアンニュイさがRADWIMPSらしさでもあるような。これからも『君の名は。』の楽曲を演奏し続けて欲しいというのは一ファンとしての切なる願いでもあるのだ。


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6月20日 横浜アリーナ
桑「こんばんは!ギターの桑原です!今日は沢山カメラの方も入ってるので、最高の映像と最高の記録を残して、皆さんの力も借りて素晴らしいライブを作っていきましょう!国内ツアーも残すところあと2本で次は中国、アジアと僕らぶっ飛ばして行くので…ここからライブも後半戦なんでけど更にこっから熱い熱い!この服(特製サウナスーツ)も暑い暑いライブをお届けするので、みんなも死ぬ気で付いてきてくだっ(声が裏返る)さぁい」

洋「今日イケるって思っちゃったでしょ」
武「凄い調子良かったのに(笑)」

実はこの横浜アリーナ2日目に演奏された「スパークル [original ver.]」でトラブルという程でもないが、1番のサビ終わりに野田がカメラマンにもう少し離れるように手で合図をするという場面があった。

洋「俺らはDVD観る人のために歌ってる訳じゃなくて今日、今いるあなた達の為に歌ってるから。(中略)ねぇ武田?」

武「そりゃそうですよ。カメラに向かって演奏してる訳ではありませ…(ここで突然ベースがブォンと鳴る)」

洋「嘘発見器だ(笑)そういや、今日ちょっとヘアメイク長かった」

武「そりゃヘアメイクするでしょう(開き直り)だってカッコよく撮られたいじゃん」

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そんなメンバーの微笑ましいトークを挟んでいよいよライブは後半戦へ突入。「横浜必死で付いて来いヤァ!」という野田の煽りからライブの定番「おしゃかしゃま」!森瑞希 (Dr.)と刄田綴色 (Dr.)によるツインドラムという武器を完全にものにしたRADWIMPSが見せる圧巻のセッション。見る度にその精度が研ぎ澄まされていく。間奏では楽器隊の掛け合いと会場の手拍子が一体感を増していく。ライブという音楽表現の場を全身全霊で駆け抜けていくようだった。そして続いて演奏されたのは来ました「カタルシスト」‼︎ このシングルを提げてのツアーという事もありそのステージングは気迫に満ちたものだった。ステージから炎は噴き出すわ、洋次郎さんの周りをカメラマンがずっと追ってるわでとにかく新しいものをどんどん取り入れている感触がライブからも伺えた。2018フジテレビ系サッカーテーマ曲としてタイアップがついてる今作。今のRADWIMPSを象徴するタイムリーな楽曲として鳴り響いた。妖しげな和音から始まったのは「洗脳」!昨年にリリースされた両A面シングルの1曲であり、ワンマンライブでの演奏はこれが初めてとなるのだがあの妙な浸透感はなんだろう。僕と君の間に生じた差異をとにかく否定的なニュアンスで突き詰め圧倒的な言葉数で支配しようとするあの様をライブで見せつけられては開いた口も塞がらない。ステージに備えられた階段に腰を下ろしキョトンと座りながら歌う野田洋次郎も狂気。台詞パートを一気にまくし立てる野田洋次郎も狂気。ラストのサビでは花道の先端が上昇するという演出。あの瞬間だけは野田洋次郎が教祖となって君臨したような。思わず息を呑んでしまうパフォーマンスであった。FullSizeRender
「洗脳」が終わると、野田は会場の後方にセットされたサブステージに登場。キーボードが置かれたそのサブステージでは「週刊少年ジャンプ」を披露。サブステージの床は透明になっており、裸電球が敷き詰められ、暖かな光を灯していた。いつか少年が夢見ていたヒーローに会いに行く。そんな真っ直ぐな想いが込められた応援歌であった。それは新曲「カタルシスト」にも通じるものがあるのかもしれない。「週刊少年ジャンプ」を歌い終えると野田は巷を賑わせた「HINOMARU」の一連の騒動について話し始めた。

洋「純粋に真っ直ぐに何の政治的な意図も思想的な意味合いもなく日本というただ一つの母国を歌ってみたいと思って。俺がアメリカに住んでた頃、いつだってアメリカの国旗があって、毎朝必ずそこで朝礼をして、こんな素晴らしい国があるんだなあって思ったし(中略)俺は日本の国旗をいつか世界中の人が好きでいてくれるようなものにしたいし、僕らが日本の代表なので、僕ら自身で日本をどんどん良くしていきたいし、僕らでどんどん作っていきましょう宜しくお願いします」

RADWIMPSが6月6日にリリースしたニューシングル『カタルシスト』に収録されたカップリングの楽曲「HINOMARU」が注目を集めている。歌詞には大和言葉が多用され、戦時中を彷彿とされる言葉もあった為「軍歌のようだ」「愛国ビジネス」など様々な憶測を呼んだ。僕自身がこの楽曲、この一連の騒動についてどう感じているかはこのライブレポートで話す事でもないので気になる方はTwitterの方を覗いて頂けると有難いです。そんな騒動の渦中に野田は自身のSNSで釈明文を発表した。そのコメントを出した理由についても野田は語り始めた。

洋「数少ない10何年も前からアジアでRADのファンですっていう子がいて、その子が今回のアジアツアーのチケットを買ったんだけど(今回の騒動を受けて)両親にRADのライブに行くな!って言われて。それまでどんな誤解を受けてようが何でもいいやって思ってたんだけど、その人がライブ来れなくなるのは嫌だから…その人と為にもちゃんと誤解を解かないとと思ってあの文章を出しました。それ以上でもそれ以下でもありません」

さいたまスーパーアリーナ公演でもこの話しは聞いたが、コメントを発表した理由が何処までも野田洋次郎らしいなと思ったものだ。野田があのコメントを発表した時に謝罪なんかする必要ないという声も少なくなかった。ただこうした背景を知ると何も言えなくなる。僕は野田洋次郎という人間を音楽的な面、メディアで出している面でしか捉える事ができないが優しすぎる人物だと思っている。1つ1つの言動から優しさが溢れているのだ。RADWIMPSの魅力は唯一無二の独創性ーー使い古されたような決まり文句だが、それ以前に野田洋次郎の持つ優しさが多くの人を惹きつけるような気がする。2011年3月11日に東日本大地震が起きてると野田は直ちに義援金を募る特設サイトを立ち上げた。それ以降は3月11日になると新曲を発表し続けている(例外あり)。2013年には東北でRADにとって初めてとなる野外ワンマンライブ『青とメメメ』を開催。津波で被災したピアノを演奏した時はステージ上で涙まで流した。2015年にメンバーの山口智史がバンドから離脱。野田はあの頃の心境を“優しい嘘”といった。人の傷みをまるで自分の事のように受け止めてしまうその繊細さと優しさ。野田洋次郎は変わらないで変わり続けた、僕にとってはそういうミュージシャンなのだ。話が逸れてしまったが、あの日の横浜アリーナにもそんな野田がいた。「今日も歌っていいですか?」という問いかけにオーディエンスは温かい拍手で迎えた。
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HINOMARU」を真っ直ぐな目で歌うその姿には、音楽面では絶対に嘘をつかないという固い意志が受けて取れた。途中の大合唱では天井から長方形の紙吹雪が降り注いだ。野田はその間にサブステージからメインステージへ移動。僕も運良く野田洋次郎にタッチ。この演出に夢中になってしまったお陰で後半はロクに曲を聴けてない。すみません。

ここで忘れていたメンバー紹介が入る。今回のツアーも例年に引き続き5人体制で回ってる説明がされて、ツインドラムを担当する森瑞希、刄田綴色の2人が紹介された。野田はツインドラムの凄さを何に喩えるか迷いに迷った末に乾選手と香川選手で喩えるという場面もあった。残り3曲と告げられて演奏されたのは「トレモロ」!会場の天井にはレーザービームで星空が浮かび上がり幻想的な空間を作り上げると、会場全体のクラップから始まったのは「いいんですか?」!気持ち良さそうにオーディエンスは身体を揺らす。そして本編のラストを飾ったのは「君と羊と青」!この曲も2011年のNHKサッカー放送のテーマ曲であった。会場全体が揺れる程に大きなコールアンドレスポンスに興奮のボルテージも最高潮を迎え、ラストのサビでは野田がマイクスタンドと共に花道へ移動。オーディエンスと更に近い距離で何処までも青々しく歌いきった。FullSizeRender

6月17日 さいたまスーパーアリーナ
アンコールで登場したRADWIMPSが最初に演奏したのは「セプテンバーさん」だった。ライブの抽選に応募する際に好きな楽曲を答えるアンケートがあったのだが、そのアンケート集計で上位になった曲だという。会場からは大喝采と大合唱。この曲がいかに愛されているか素肌で感じた瞬間であった。

6月20日 横浜アリーナ
「毎日当たり前に生きなきゃいけない僕らの歌です」という野田の言葉からアンコールの1曲目に演奏されたのは「棒人間」であった。2年前にリリースされた『人間開花』に於いても、それを提げたツアー『Human Bloom Tour 2017』に於いても中枢のような役目を担っていた今作。今回も見事なアンサンブルでアンコールを彩った。

両日共通してラストを飾ったのは「DADA」だった。死生観を書き殴った歌詞とエッジの効いた圧倒的なサウンド。RADWIMPSの代名詞とまで野田に言わせた1曲に会場は一心不乱に喰らいつく。演奏が終わると5人は清々しい表情で花道に並び深々と頭を下げてステージを後にした。こうして2時間半にも及んだ『Road to Catharsis Tour 2018は幕を閉じたのだった。ライブ終演後は暫く放心状態になってしまった。1年前の『Human Bloom Tour 2017』とは全く違った感触。この気持ちをどんな言葉で形容すればいいのか判らずにいた。だがそんな中で思う事があった。Road to Catharsis……浄化への道。それはRADWIMPSがこれまで駆け抜けてきた轍なのではないかと。今回のライブツアーはRADWIMPSの音楽の旅なのではないかと。そんな気がしたのだ。そう言えば横浜アリーナでのMCで野田は現在RADWIMPSが新しいアルバムのレコーディング中だと言う事を明かした。《僕が叫ぶこの声には / たとえ意味などなかろうと / 君にただ届けと願う / 心が叫ぶのやめないの》そんな言葉を体現するかのようにRADWIMPSは音楽を創り続けている。これまた素晴らしい音楽を僕らに届けてくれるに違いない。今回のツアーはそれを確信づけるものだったのだ(やまだ)

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RADWIMPS  Road to Catharsis Tour 2018
2018.06.17 (Sun.) 
Saitama Super Arena

1. AADAAKOODAA
2. One man live 
3. ます。
4. ふたりごと
5. 遠恋
6. 俺色スカイ
7. やどかり
8. 揶揄
9. 秋祭り
10. スパークル [original ver.]
11. おしゃかしゃま
12. カタルシクト
13. 洗脳
14. 週刊少年ジャンプ
15. HINOMARU
16. トレモロ
17. いいんですか?
18. 君と羊と青
〈encore〉
En1. セプテンバーさん
En2. DADA


RADWIMPS  Road to Catharsis Tour 2018
2018.06.20 (Wed.) 
Yokohama Arena

1. AADAAKOODAA
2. One man live 
3. ます。
4. ふたりごと
5. 遠恋
6. 俺色スカイ
7. やどかり
8. 揶揄
9. 秋祭り
10. スパークル [original ver.]
11. おしゃかしゃま
12. カタルシクト
13. 洗脳
14. 週刊少年ジャンプ
15. HINOMARU
16. トレモロ
17. いいんですか?
18. 君と羊と青
〈encore〉
En1. 棒人間
En2. DADA


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