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僕のブログには前置きが無駄に長いと苦情が寄せられがちなので、サザンオールスターズがどういったバンドなのかという誰でも知ってる説明は割愛させて頂きます(汗)この記事では『ROCK IN JAPAN FESTIVAL.2018』GRASS STAGEの大トリを飾ったサザンオールスターズのライブの模様を僕視点でレポートしていきます。ライブに行けなかった方々に少しでもライブの様子をお裾分けできたら幸いです。


2018.08.12 (Sun.)
ROCK IN JAPAN FESTIVAL.2018
GRASS STAGE 18:00〜
サザンオールスターズ
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1. 希望の轍
2. いとしのエリー
3. 涙のキッス
4. せつない胸に風が吹いてた
5. 栄光の男
6. My Foreplay Music
7. 愛の言霊〜Spiritual Massage〜
8. 闘う戦士(もの)達へ愛を込めて
9. 真夏の果実
10. LOVE AFFAIR〜秘密のデート〜
11. 壮年JUMP
12. 東京VICTORY
13. ミス・ブランニュー・デイ
14. HOTEL PACIFIC
15. マンピーのG★SPOT
En.1 みんなのうた
En.2 勝手にシンドバッド


18:00〜 GLASS STAGE 
ロッキンの会場内で最大のキャパを誇るGLASS STAGE。そこに集まった約7万人もの人々が彼らの登場を今か今かと待ちわびていた。時間になり巨大スクリーンに『サザンオールスターズ』の文字が映ると大歓声が巻き起こる。サポートメンバーと桑田佳祐 (Vo.Gt.)以外サザンのメンバーが登場するといきなり鳴らされたのはなんと名曲「希望の轍」のイントロだった。桑田佳祐がステージ袖から登場し、歌い出すと早くも会場は大合唱に包まれた。1曲目の余韻に浸る隙すら与えず「いとしのエリー」に突入。原由子(Key.)がコーラスに入るとそのあまりの美しさにオーディエンスからは思わず声が漏れた。そう言えば渋谷陽一がサザンのリハーサルを観た感想をブログでこんな風に綴っていた。《とりあえず始まって1曲目、2曲目の段階で、完全に勝ちに来ていることが感じられるセットリスト》ライブを実際に観て渋谷氏がそう綴った気持ちが痛いほど分かった。

「皆さん元気ですかー!サザンオールスターズです!飽きてませんか?大丈夫ですか?」「Superflyの後だけはやりたくないって言ったのに…Superflyサイコー!」MCではそんないつもの桑田節でその場を和ませる。「渋谷陽一っていう社長がいて、ロッキンの最高峰のお方なんですけど、昨日のブログでハードル上げすぎ」と桑田。だがあの会場にいた誰もが最初の2曲でサザンがその上がりまくったハードルを優に超えたのを感じていたのではないだろうか。
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3曲目は「涙のキッス」…筆者はここで涙腺が崩れてしまった。親の声よりも聴いた心地いいメロディラインに酔っていると、そこからは幅広い年代から選ばれた「せつない胸に風が吹いてた」「栄光の男」(←桑田さんがアコギじゃなくてエレキだったよ!)「My Foreplay Music」「愛の言霊〜Spiritual Message〜」といった楽曲達がほぼノンストップで演奏されるのだから、こちらとしてはもう圧倒されっぱなしなのである。「愛の言霊…」では最後の語りの箇所に大胆なアレンジが加えられ《マホロバ みんなの願い / シアワセ 生きとし生きて》といった原曲にはない歌詞が挿入されたりもした。

04 Limited Sazabys…?凄いよね」とGRASS STAGEで演奏していた若手バンドを褒めつつ、新曲を聴いてくださいというMCから演奏されたのは映画『空飛ぶタイヤ』の主題歌にもなった「闘う戦士(もの)達へ愛を込めて」。欺瞞と疑惑に塗れた競争社会で生きている者の苦悩をリアルに描き出した歌詞は、現代を生きる人々への応援歌として届けられた。さざ波のSEから「真夏の果実」が鳴り響くと会場からは拍手が起こった。誰もが待ち望んでいたでいたであろう名曲。一言一言を大切に噛み締めるように歌う桑田佳祐の堂々とした歌声は40年間も日本の音楽シーンを牽引し続けた圧倒的な自信と気迫を感じさせるものであった。横浜を舞台にして大人の恋愛模様が切なく展開される「LOVE AFFAIR〜秘密のデート〜」、子どもの頃に抱いていたアイドルへの憧憬を儚く落とし込んだ新曲「壮年JUMP」、東京への想いを詰め込んだアンセム「東京VICTORY」も続けて演奏された。今月リリースされたプレミアムアルバム『海のOh, Yeah!!』に収録された新曲「壮年JUMP」の掛け声の部分ではオーディエンスの一体感が凄まじく、早くもサザンの楽曲として浸透しているように感じざるを得なかった。
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サザンのライブでは定番曲ともなっている「ミス・ブランニュー・デイ」では今年入ってから何回か披露されている間奏部分にイントロのギターのリフを挿入するアレンジを見せ会場を沸かせ、「HOTEL PACIFIC」では胸元が開いたセクシーな衣装に身を包んだ女性ダンサーが登場してステージを華やかに彩った。桑田が幾度となくダンサーの佐藤郁実にちょっかいをかけ、歌詞の一部を《茅ヶ崎生まれの郁実ちゃん》と替えたりするのも実に微笑ましい。本篇のラストを飾ったのは「マンピーのG★SPOT関口和之(Ba.)のベースが艶っぽい低音を響かせてからのあの爆発的なイントロの流れは何度聴いても痺れてしまう。そしてこの日の桑田のズラも期待を裏切らなかった。女性用のパンティーを被ったようなデザインに、扇子が3つ取り付けられていて、そこにはそれぞれ「渋谷陽一 出て来いや!」「おかげさまで40周年」「RIJF最高!」と書かれていた。もうこうなったらやりたい放題のサザン。ステージ袖からは女性用パンティーを覆面マスクにして、乳首を洗濯バサミで挟んだ怪しげな男性ダンサーが登場。サビではステージから炎が吹き出し、会場からはクラップが巻き起こる。間奏部分ではスタッフ数名が桑田を持ち上げた状態でM字開脚させて股間の部分に《皆さんありがとう!素敵な夏を》と書かれた紙を貼り付けるというサザンファンの自分でも意味不明なライブ演出もあった。あれ!?さっきまで「真夏の果実」歌ってたおじさんどこ!?そんな錯覚に陥ってしまっても無理はない。この振り幅こそサザンオールスターズの魅力そのものなのだ。メンバー全員が還暦を過ぎたこのバンドが間違いなくこの日一番GRASS STAGEで大暴れしていた。
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アンコールではサザンオールスターズが30周年の時にライブで披露したタイトルのない楽曲が替え歌で披露された。《ROCK IN JAPAN このステージに立たせてくれて素晴らしいひと時をありがとう》と歌い「みんなのうた」へ!3本のホースから一気にスタンディングに向けて放水が行われると、会場のボルテージは最高潮に達した。昨年のロッキンに桑田佳祐がソロで出演してした時は放水時間が一瞬であったが、今回は打って変わってこれでもかというほど放水が行われた。そしてそして90分にも及んだライブのラストを飾ったのは勿論あの曲。GRASS STAGEに集まった6万人との「Oh〜Yeah!!」掛け合いから「勝手にシンドバッド」が掻き鳴らされると、サンバの衣装を着たダンサーが登場。イントロの「ラララ〜」大合唱もサビの「今何時!?」の掛け合いも会場全体が大盛り上がりでこの曲が40年も前の曲だと言うことを忘れてしまう程であった。演奏が終わってからもしばらくは拍手喝采が鳴り止まなかった。演奏を終えたサザンのメンバーの表情は若手バンドのように煌びやかで、若々しかった。そして桑田佳祐は「まだまだ暑い夏は続きますが、お身体ご自愛ください!そして素晴らしい夏の思い出と素敵な秋を迎えてくださいよ!ありがとう!」とロッキンに別れを告げたのだった。
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20世紀最後の年から始まった『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』は日本最大級の野外ロック・フェスティバルと呼ばれるまでに成長し、19年目を迎えた今年は平成最後の開催となった。その大トリにサザンオールスターズが居たことはあまりに特別であった。サザンオールスターズが40年もの間、日本の音楽シーンの最前線で活躍し続けている事は言葉で言ってしまうのは簡単だが、それをあのスケールで体現しているサザンというバンドはとんでもない怪物だ。決して時代は平坦には流れてくれない。そこに生きる人間が変われば流行も価値観も常にアップデートされていく。目まぐるしく変化し続けるそんな大衆を相手にする音楽業界で揉まれながら、時には抗いながら闘い続けたロックバンドがサザンオールスターズであり、フロントマンである桑田佳祐なのだと僕は思っている。こんなロックバンドを僕は他に知らない。ロッキンのステージで彼らが魅せたあの90分は40年というキャリアの縮図であり、日本音楽界の軌跡でもあるのだ。(やまだ)


写真引用元 : ロック・イン・ジャパン・フェスティバル2018公式サイト http://rijfes.jp/