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まずこのコラムを読むにあたって読者の皆さんにご理解して頂きたいのは、僕が生粋のRADWIMPSリスナーだと言う事である。映画のレビューたるもの全体像をフラットな視点で捉えて書くのがベストだとは思うのだが、上記のような理由で若干…野田洋次郎に傾倒した記事になってしまうかもしれない。ご了承下さい。このコラムでは7月3日にTOHOシネマズ新宿で行われた『泣き虫しょったんの奇跡』の完全披露試写会で本作を一足先に観させて頂いた僕がネタバレしない程度に今作の見所をお伝えできたらと思う。どうぞ最後までお付き合い下さい。

豊田利晃が監督を務めた映画『泣き虫しょったんの奇跡』はサラリーマンからプロ棋士になった将棋棋士・瀬川晶司五段の自伝的小説を映像化したもので主人公の「しょったん」を演じたのは俳優の松田龍平。しょったんの親友役をRADWIMPSのボーカルの野田洋次郎。その他にも永山絢斗、染谷将太、渋川清彦、駒木根隆介、新井浩文、早乙女太一、妻夫木聡、小林薫、イッセー尾形、松たか子といった豪華キャストが顔を揃えた。

子どもの頃からプロ棋士になる事をひたすらに夢見て生きてきた主人公の瀬川晶司(しょったん)はプロ棋士の養成機関である奨励会に入会したが、26歳までにプロになれなかった場合は退会という死に等しい年齢制限の壁にぶち当たりプロ棋士への道を断たれる事となる。そんな絶望的な状況に追い込まれたしょったんがどのようにしてプロ棋士になれたのかが今作にとって最大の見所であるのは間違いないが、個人的に推して行きたいのはこの『泣き虫しょったんの奇跡』というタイトルである。“泣き虫”という単語がタイトルにありながらも実際に劇中でしょったんが泣いてるシーンというのは言うほど多い訳ではない。多分…イッセー尾形の方が泣いてた。しょったんが奨励会での最後の対局で敗れたシーンではプロ棋士への道を断たれ全てを失った虚無感で涙を流す事もなかった。そんなしょったんだからこそ涙を流すシーンではグッと来るものがある。是非これから映画を観る皆さんに観ていただきたいのはしょったんがそれぞれの場面で流す涙である。きっとどれ1つとして同じ涙はないと思う。それを踏まえるとこの『泣き虫しょったんの奇跡』というタイトルの見方が変わってくるかもしれない。
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そんなしょったんの小学生時代からの親友でありライバル、鈴木悠野を演じたのがRADWIMPSの野田洋次郎である。そもそもRADWIMPSというバンド名の意味がかっこいい弱虫の時点でちょっとしたシンパシーを感じてしまう。ごめんなさい、全然関係ないです。2015年に公開された映画『トイレのピエタ』では映画初出演にして主演を務め、第39回日本アカデミー賞新人俳優賞に輝いた。近年ではTVドラマ『100万円の女たち』でドラマ初主演を務め、今年公開された映画『犬ヶ島』では声優デビューするなど活躍の幅を広げている。俳優・野田洋次郎としてこれまた違った魅力を引き出した映画に仕上がっている今作ではプライベートでもかなり仲の良い松田龍平と野田洋次郎だからこそ表現できたナチュラルな芝居を是非とも楽しんで頂きたい。

将棋をテーマにした映画という事で将棋に関して何の知識もない僕みたいな人はストーリーが理解出来ないのではないかと躊躇してしまいそうだが、その点に関しては心配無用と添えておきたい。勿論、将棋に関心ある方でも存分に楽しめる映画に仕上がっているのは間違いない。そう言えば僕が行かせて頂いた完成披露試写会で豊田利晃監督が将棋を憎んでいた過去を赤裸々に告白していた。実は監督自身も17歳まで関西の奨励会でプロ棋士を目指していて敗れた紛れもない「しょったん」だったのだ。一時期は「将棋の映画は撮らない」とまで言っていた監督が著書『泣き虫しょったんの奇跡』に出会った事で生まれた映画『泣き虫しょったんの奇跡』ーー。1人の男が日本将棋界に起こした奇跡の大逆転劇を皆さんも劇場でとくとご覧あれ(やまだ)


(映画『泣き虫しょったんの奇跡』本予告)
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