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RADWIMPSの音楽にとって自己認識への問いとは切っても切れない1つの大きなテーマだと僕は考えている。自分とは一体何なのか、生きてる意味とは一体何なのか。そんな人生における本質的で根源的な疑問と常に対峙し続けこれまで吐露されて来た野田洋次郎の独自性に富んだ言葉の数々はRADWIMPSというバンドを語る上では決して欠かす事の出来ないアイデンティティとなり現在に至る。

ミュージシャンが18歳世代から寄せられた想いを元に楽曲を書き下ろし、全国から集った1000人の参加者と一緒に共演し一度きりのステージを作り上げるNHKの『18祭 (フェス)』。第1回をONE OK ROCK、第2回をWANIMAが担当し話題になったが3回目の開催となった今年はRADWIMPSに決定した。この一報を最初に受け取った時に僕はかなりセンセーショナルな番組になるぞと素直に思った。ブログの冒頭で述べたようにRADWIMPSにとって自己認識への問いは彼らのキャリアの中で幾度となく交わされた大きなテーマでもあり、そんなRADWIMPSとその問いにタイムリーで直面している18歳世代が融合した時にどんな瞬間が垣間見れるのか非常に気になったからである。現在メンバー全員が三十路を超えた彼らが今の18歳世代にどんなメッセージを伝えるのかも興味がある。そんなこんなで放送日の10月8日を迎えた訳だが……おじさんまんまと泣かされてしまったよ。まぁおじさんとか言っても僕20歳なんですけど。1時間15分にも渡る特番を通して感じた事は沢山あるが、全部書き残す気力もないからRADWIMPSがこの日の為に書き下ろした新曲「万歳千唱」と「正解」について書いていきたいと思う。

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初めて2曲の楽曲が制作された事に加えて、楽曲中にフィジカルな部分で音楽を表現する為のボディーパーカッションが取り入れられたり、大太鼓、スルド、スネアを演奏する楽器隊が組まれたりするなど異例尽くしのステージとなった今年の18祭。 「最終的に貴方達の人生が幸せなものであって欲しいし、最終的に万歳三唱して終わって欲しいなと思ったんだけど、万歳三唱じゃ足りないなと思って。だったら“万歳千唱”で行こうかなと思ってこのタイトルにしました」という野田洋次郎の言葉から演奏されたのはこの日の為に書き下ろされた新曲「万歳千唱」。ボディパーカッションと打楽器が全編を通して取り入れられた人生賛歌だが《濡れた瞳で明日を目指す意味を僕は今でも探し続けているよ》というこの出だしがあまりにも秀逸すぎる。大人が若者に人の道を説こうとすると何処か上から目線から諭すニュアンスになりがちだが、この「万歳千唱」にはそれがない。それは何よりも最初に野田洋次郎が自分自身も18歳と同じで今も生きる意味を探し続けている1人なのだとこうして宣言しているからだ。《君の中のカナシミを喜ばせて / 君の中のクルシミを勝ち誇らせて》10代が胸の内に潜めた“悲しみ”を木っ端みじんにするのはこの曲曰くハチ切れそうな笑顔と声であり、それをあれ程にパワフルなステージングで体現させられたら圧巻としか言いようがない。

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「合唱曲を作りたい」という気持ちから曲作りが始まった新曲「正解」はピアノの伴奏が基調となっているバラードであり、楽器を多用した重厚感あるサウンドで聴かせた「万歳千唱」とは真逆のアプローチとも取れる。《あぁ 答えがある問いばかりを教わってきたよ》《答えがすでにある問いなんかに用はない》RADWIMPSというバンドは「正解」とタイトルで謳っても、答えを突き付ける事は決してしない。 そこにあるのは33歳を迎えて若かった時期を達観できるようになった今の野田洋次郎だからこそ18歳に向けて出題できた最終問題だけであった。
次の空欄に当てはまる言葉を書き入れなさい ここで最後の問い「君のいない明日からの日々を僕は/私は きっと□□□□□□□□□□□」
この最後の問いに関して野田洋次郎からの説明はこう続く。《制限時間はあなたのこれからの人生 / 解答用紙はあなたのこれからの人生 / 答え合わせの時に私はもういないのだから / 採点基準はあなたのこれからの人生》この問いに1つの答えなどないのだ。□□□の空欄に当てはまる言葉をそれぞれがそれぞれの人生で探して書き入れるしかないのである。そしてその答えに丸を付けてあげられるのも自分自身でしかないのだ。10代にとって最も馴染みのあるテストという形式で自己認識への問いというRADWIMPSの音楽に内在する1つの大きなテーマを落とし込んで見せた珠玉の業。大正解でしょ。これ泣かない人いるの?

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かつて自分のことを自暴自棄自己中心的自己依存症の少年と歌っていた当時18歳の野田洋次郎が15年後に「万歳千唱」「正解」という2曲を通して1000人の18歳世代と気持ちを共有し、その瞬間を肯定できたという事はこの上ない奇跡であった。そしてこの2曲は18歳世代に限らずこれから18歳を迎える方々にとっても、18歳を過ぎた方々にとっても普遍的に響く楽曲に仕上がっていたに違いない。この文章を書いてる僕もそう。それぞれがそれぞれの価値観と理念で□□□にそれぞれの正解を埋めてあげればよいのだ。「よーい、はじめ」(やまだ)



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