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  僕が神聖かまってちゃんの音楽を初めて聴いたのは確か5年前の夏頃だったと思う。当時の僕はまだ高校1年生だったがYouTubeでたまたま再生した「22才の夏休み」に心臓を掴まれた。キャッチーなメロディラインではありながら閉塞感のあるサウンド。お世辞にも上手いとは言えないが夏の訪れを憂いてるように聴こえる気怠い歌声が何処か切なくて、兎にも角にも一発で気に入ってしまったのだが、知れば知るほど神聖かまってちゃんとは (良くも悪くも)頭のおかしいバンドだったのだ。

  そんな5年前の事を思い出しながら中野駅の改札を出てしばらく歩いていると本日のお目当てであるフェス会場が見えてきた。会場入り口には『NAKANO Fresh ROCK.FES 2019』と書かれた陳腐な看板が立てられていて、その近くを通りかかったサラリーマンの2人組は「大学の学祭か?」と漏らしていた。

  僕がフェスの会場に着いた時はちょうど中野区役所前広場に設置された特設ステージでがそのステージを終えようとしている所だった。そこからは「若手バンド代表です」と笑いを誘った結成17年目のアルカラが圧巻のステージを見せ、日本で最もハイテンションのロックバンド・HEREはそのキャッチコピーが決して伊達ではない事を証明してみせた。昨年の『未確認フェスティバル2018』でグランプリを獲得した今後の活躍に目が離せない大注目の4ピースバンド・マッシュとアネモネも堂々たる佇まいで気持ちの良いグルーヴを響かせる。キャリアもカラーも全然違ったバンドが会場の雰囲気をコロコロと塗り替えていくフェスならではの面白さ。すっかり言い忘れていたが、このフェスは入場が無料という大盤振る舞いである。

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  いよいよ、お次は大本命の神聖かまってちゃん。今回のフェスで大トリを務めるかまってちゃんを一目見ようと狭い会場は人で溢れかえっていた。実はこの日が僕にとって初めての神聖かまってちゃんのライブであった。ライブには何度も足を運ぼうとしていたのだが、なかなかタイミングが合わず、初めてYouTubeで彼等の音楽を聴いたあの日から5年という年月が経ってしまった。

16時20分頃。転換に登場した神聖かまってちゃんのメンバーはそれぞれがPAさんとのサウンドチェックに入る。の子 (Vo.&Gt.) はお馴染みのニコちゃんホログラムのサングラスを登場すると早速「イェイ!イェイ!イェイ!」「中野!中野!」とコール&レスポンスを促す。「かまってちゃんサイコー!」という女性ファンの声援に素早く「うっせー!」と中指を立てる姿はツイキャスやライブ映像で見て来たありのままのの子で無性に嬉しさが込み上げてしまう。

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  本番前のリハーサルでは「知恵ちゃんの聖書」を演奏。彼らのメジャーデビュー初のシングル曲である。ワンコーラスだけの演奏を終えると「寒いなあ。寒いけどお前らこっから熱くしてくれるかなあ!?お前らが俺たちの事を!」「ドッジボールなんだよ。キャッチボールじゃねぇ!ドッジボールなんだよ!お前らもこっちにさ、熱意を全て飛ばしてこいよ!」との子が会場を煽る。これから始まるライブが素晴らしいものになる確信しかなかった。

  16時45分。予定時間通りに始まった神聖かまってちゃんのステージはメディアムテンポのナンバー「光の言葉」で幕開け。これは前日のツイキャスでの子自身が明かしていた。演奏を終えるとノンストップで「自分らしく」へ突入。の子とmono (Key.) がオーディエンスを煽り、観客のボルテージが着実に上昇していくのが肌で感じられる。四つ打ちの打ち込みサウンドが実にダンサブル。ステージで好き勝手に踊るmonoも気持ち良さそうだ。ちばぎん (Ba.) のベースラインとみさこ (Dr.) のドラムも気持ち良くノッテいる。の子が間奏中に舞台から転げ落ちるハプニングもあったが、それもらしさで微笑ましい (次曲でも同じ勢いで舞台から落下)。神聖かまってちゃんが確かに目の前にいる事実を再確認したのも束の間、そのまま「リッケンバンカー」へ。前身バンド時代の楽曲である「リッケンバッカー」をかまってちゃんのアレンジとして昇華したこの楽曲。全くもう泣きそうになる程の美メロである。

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の子「さっきの(ステージからの落下)ダイブじゃないからな!出禁になるんじゃないか?何でもありn…何でもありじゃねえか、今日のフェスは(笑)」「もう何でもいいんだよ!ロックなんだよ、これが!」

「次の曲はもうちょっときっと良くなるな」というの子のMCから「きっと良くなるさ」。現代社会に揉まれながら生きる全ての人へ贈られたかまってちゃんなりの応援歌である。神聖かまってちゃんはネガティブな感情を途轍もないダイナミズムで発信してきたバンドだったし、リスナーは自ずとそんな負のエネルギーをこのバンドに求めて来た節がある。だがそんなバンドだからこそ「きっと良くなるさ」のような楽曲を歌う事に大変意味があり、歪ながらにも懸命に歩んできたロックバンドとしての成長とはきっとそういう事なのだと僕は思う。

mono「令和時代も僕たちはこのまま何も変わらずお前たちと一緒に進んで行くんで!」

  そして神聖かまってちゃんの最後の楽曲として演奏されたのは名曲「フロントメモリー」!ボイスチェンジャーで声を変えたの子がハンドマイクで観客を煽ると昨年公開された小松菜奈さん主演映画の効果もあってか一斉の大合唱がオーディエンスから巻き起こる。余談だが今年の2月に新木場で行われた『禁じられた遊び〜ファーストインパクト〜』に神聖かまってちゃんが出演し、この楽曲を披露した際のの子のパフォーマンスが面白すぎるので気になった方は上記のリンクからYouTubeでご覧下さい。

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  演奏を終えると間髪入れずに「まだ時間大丈夫?」との子。追加でもう1曲のサプライズ演奏である。「令和?令和時代がやってくる?令和とかそんなの関係ねぇんだよ、平成とかよ!時代はさ、良い曲とかどんな曲でも、曲は時代を超えていくんだよ!」の子の絶叫と共にmonoがかまってちゃんの超名曲「ロックンロールは鳴り止まないっ」のイントロを奏でると今日一の嬉し悲鳴が巻き起こる。会場の熱気が最高潮に達した瞬間。みさこのドラムもそんな熱気に呼応するように迫力を帯びていく。楽曲のアウトロではの子が観客とフェスに向けて「ありがとうございました」と感謝を述べ、会場に集まった観客達と「イェーイ」と叫び、30分に及んだステージを (ちばぎんに肩車されながら) 後にした。

  の子は言った。平成も令和も関係無いと。どんな曲でも曲は時代を超えていくと。僕もそう思う。現に神聖かまってちゃんの「ロックンロールは鳴り止まないっ」は11年が経った今でも全く色褪せる事を知らない。ロックンロールの根底にある確かな“衝動”を狂おしいほどノスタルジックに歌い上げるからこそリスナーから絶大な共感を呼び愛され続ける。だからこそ敢えて言わせて欲しい。平成最後のライブが神聖かまってちゃんで良かった。5年前にYouTubeで再生ボタンを押したあの瞬間から平成最後の今この瞬間までかまってちゃんの音楽は僕の中でコンスタントに鳴り続けた。そしていよいよ訪れる次の時代でも、神聖かまってちゃんのロックンロールが鳴り止むことはないだろう。(やまだ)


(神聖かまってちゃん - ロックンロールは鳴り止まないっ 2019.4.29 NAKANO Fresh ROCK FES)


2019.04.30 (Mon.)

NAKANO Fresh ROCK FES.2019
神聖かまってちゃん

リハ : 知恵ちゃんの聖書
1. 光の言葉
2. 自分らしく
3. リッケンバンカー
4. きっと良くなるさ
5. フロントメモリー
6. ロックンロールは鳴り止まないっ