Mr.Childrenにとって初の海外単独公演となった台湾公演を含む13ヶ所26公演で行われた『Mr.Children Tour 2018-19 重力と呼吸』から国内最終公演“大阪城ホール”でのライブを収録した映像作品が6月26日に発売された。皆さんはもうご覧になっただろうか。
まずこの映像作品を通して驚いたのは昨年の3月に発売されたライブ映像作品『Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25』とはまるで違う全く別のバンドのような顔をMr.Childrenが見せている点である。あの映像作品は彼らにとってデビュー25周年という節目に行われたツアーで「みんなのミスチル」をやり遂げた彼らの姿を華やかに捉えた作品であった。それに対して今作はディスクを再生してものの数分もしない内に『Thanksgiving 25』の延長線上に在りながらもドラスティックに変化した生々しいMr.Childrenの姿を見せ付けられてしまうだろう。「みんなが知ってるMr.Childrenじゃなくて、それ以上のMr.Childrenをお見せしたいと思っています」ライブ序盤でそう口にした桜井和寿の言葉からも分かるように“感謝祭”というタイトルが付けられた25周年ツアーとは真逆のベクトルを持ったモンスターバンドのライブが展開されているのである。
あと今回の映像作品は『Mr.Children Tour 2018-19 重力と呼吸』でのスペクタルな演出を圧巻の映像美で堪能できる点についても言及しておきたい。ボーカル・桜井和寿ではなく、あくまでロックバンド・Mr.Childrenにフォーカスした目紛しいカメラワークとフロア全体に仕掛けられた証明が織り成す演出からは鑑賞者側に一瞬の余所見も許さないような気迫を感じ取ってしまう。日本音楽業界の第一線を走り続けるバンドのライブ映像はこれだと胸を張って言えるような完成度に仕上がっていると言って良い。僕はこのツアーを横浜アリーナで観させて頂いたのだが、実際にライブで観た時よりも躍動感を超えてしまっているシーンが幾つもある。生を映像作品が超えるなんて前代未聞だが、そう錯覚してしまう程にこの映像作品は凄いと念を押しておこう。
そして特典映像としてMr.Childrenにとって初の海外でのワンマンとなった台湾公演の模様がオフショットを挟みながらダイジェストで楽しめるのも今作の見所だ。国内公演では演奏される事が無かった楽曲を惜しげも無く組み込んだスペシャルなセットリストとこの日を何年も待ち侘びていたであろう台湾のファンの方々との間で生まれた多幸感を長いとは言えない特典映像でも十二分に味わう事が出来る。そこには先日に千秋楽を迎えた『Mr.Children Dome Tour 2019 “Against All GRAVITY”』へと歩みを進める直前の彼らが鮮明に記録されている。(やまだ)
(Mr.Children「Your Song」from Mr.Children Tour 2018-19 重力と呼吸)
コメント